2006年3月 5日 (日)

最後は劇的だけど

下山天監督の『SHINOBI』を観た。原作は山田風太郎の『甲賀忍法帖』。この映画は、「最新鋭のモーションキャプチャーとVFX技術」を駆使した作品とあるが、モーションキャプチャーって何?VFXって何?そう思いながら観ていた。聞き慣れない言葉でも、デジタル用語辞典で検索すればすぐにわかるから観終わって納得する。ハリッド映画のアクション系とでも思えば良いのかも。『マトリックス』ではCGがすごいと思ったけど、CGを使った視覚効果のことをVFXと言うらしい。モーションキャプチャーは、「人体にセンサーを設置し、動きをコンピュータに取り込む技術」だそうだ。
しかしこれは不思議な映画である。忍(忍者)たちが、手裏剣だけでなく、体内で猛毒を発生させたり、毒蛾を操ったり、何百年も生きている不死身だったりで、一般的な忍者スタイルと違う。そこに躍動感が出ているものの、私には『SHINOBI』というタイトルに忍者という意味以外に、恋の葛藤を忍ぶ、というイメージが浮かんでしまうのだ。だからアクションが目立てば目立つほどに映画的リアリズムから遠く離れていってしまうような気がしてならなかった。所詮、「映画は虚構なのさ」と思っても、逆に現実味を求めたくなるのがこの映画。だから、やっぱり不思議な映画だ、というのが私の感想。

伊賀と甲賀はもともと敵対関係にある忍者の二大勢力。長い戦乱が終わり、泰平の世が訪れたときに敵対する忍(忍者)の男と女が出会ったことから話が始まる。男の名は弦之介(オダギリ ジョー)、女の名は朧(仲間由紀恵)。
徳川家康は次期将軍を決定するために、伊賀と甲賀を各5人の忍によって戦わせた。最後に残った一人が駿府に上り、次期将軍を決するというもの。伊賀・鍔隠れから党首に選ばれたのが朧。甲賀・卍谷の党首は弦之介。
合わせて10人の忍が繰り広げるサバイバルバトルは人智を超えたアクション。このアクションばかりが目立って、二人の愛と葛藤のイメージが薄らいで、それを思わせるものが最初と最後にしかない。つまり弦之介が亡き母の形見である櫛を渡し、ハヤテ(鳥)の立会いの元、二人だけで祝言を挙げた場面。ここでは、宿命といえども二人を引き離すものは決してないという見方もできるわけだが、一方で、朧は弦之介と結ばれるのは「夢の中のみ」と確かに言い切っている。
最後は「お前と出会えてよかった。頼みがある。里のことだ。」と言い残す弦之介を殺めてしまう朧。弦之介は、最後まで忍の戦いを拒否していたと見えるが、自分が死んで朧を存在させておくことで、400年続いた忍の術を彼女に託して死んでいくようにも見えてくる。そこが、このタイトルが『SHINOBI』であるゆえんなのかな、とそんな気もしてくるのだが・・・。

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