ぶらり京都(2020年10月12日~10月13日)

  • 錦市場
    「Go Toトラベル」を使って、京都一泊一人 無計画、思い付きの旅です 簡単な説明をつけています 画像をクリックしてください

2011年4月23日24日の気仙沼

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    気仙沼市唐桑町にの甥一家が東日本大震災で津波の被害に遭遇。お見舞いに駆け付けた時の撮影。

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2020年8月21日 (金)

ショートショート

別棟の彼

百七十坪のさして広くもない屋敷に入り口を本宅に向け、いかにも安普請の別棟が建っている。
屋敷の南側隅っこ。

すっかり葉を落とした銀杏の木と、蕾も見せない痩せ細った寒椿の間にこの別棟はある。

別棟といえども、軒先に子供にでも手が届くほどの丈の低いトタン屋根をした小さな家――おそらくここでは、隙間風が吹き込むであろう。

暖房ひとつない、底冷えのする別棟の一室で、彼は体を丸めて横たわっていた。

一日二十四時間の大半を退屈という名のもとに殆ど毎日、そのようにして眠っているのが彼の常だった。

雨が降ろうが、雪が吹き込もうが一向にお構いなし・・・それもそのはず、彼の血は極寒の地シベリアに流れる。

大きくて粗野な顔の輪郭、鋼のように頑丈な体は、一見 威圧的で険しい。

だがよくよく見ると、その顔にはエキゾチックな匂いが漂っている。

大きな顔に似合わないほっそりとした口元、まっすぐ筋の通った小ぶりの鼻、そして何よりも彼をエキゾチックに見せているのは、あの神秘的なブルーの目・・・その目をさらに強調するかのように、目の周りを歌舞伎役者よろしく隈取っている。

退屈という眠りから覚めた彼は、伸びをし、入り口から体を乗りだす。

その身ごなしのなんと優美なことか!

本宅でほんのちょっと音がするとか、門扉に来訪者の気配を感じるだけで、彼が顔を上げ聞き耳を立てるには十分・・・

あれは、自分のためにやっているのではないか?

自分を訪ねてきたのではないか?

このときの彼の表情は、期待と不安の入り交じったものになる。

夕食後の軽い散歩は、彼が開放される唯一の時間だ。

もう5年も馴染みの道を歩いている。

途中、知人に会えば愛想の良い笑顔も振り撒くし、お世辞のひとつも言われれば良い気分にもなる。

実際のところ躾の良い彼の身ごなしは、だれにでも好感を与えた。

やがて周囲は闇に沈み、徐々に夜の帳に包まれる。

本宅の人々は、すでに熟睡していたが、微かな物音に、彼はじっと目を凝らして始めは抑えた声で、しだいに激しく

「ワン、ワン・・・」と吠え続けた。

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画像は、高品質なフリー画像素材「Pixabay」さんからお借りしています。

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コメント

主人が戌年、息子も戌年だからか、昔から犬を飼っています。
最初は柴犬。次はシベリアンハスキーとゴールデンレトリーバーのミックス犬で、知り合いから譲り受けたもの・・・これが結構大型だったので、次は小型犬のミニチュアダックスに。
ミニチュアダックスは2005年にMSNのNETオークションで落札購入。生犬をNETオークションで購入するのは不安だったものの、幸いなことに出品者の方から「実物を見てから購入をするかどうかを判断して欲しい」と言われ、その好意に甘えて新幹線で静岡県三島の出品者宅まで出かけました。
JKC発行の血統書付、ワクチン5種接種済み。すっかり気に入って、その場で取引、新幹線に乗って、我が家にやってきました。
とてもいい犬で、昨年の9月に亡くなるまで、介護の世話を焼かせてくれることもなく、最期まで賢くいい犬でした。
今飼っているトイプードルは実際には息子の家の犬で、家族旅行に行くからというので預かって、そのまま我が家に居ついてしまったわけです。
すでに5年になるでしょうか・・・?
というわけで、3年ほどはミニチュアダックスとトイプードル2匹の世話に明け暮れていました。

「彼」とはシベリアンハスキー犬だったのですね。最後の犬が死んでしまうまでに3匹の犬を飼いまし。何れも「子犬を譲る会」で譲り受けました。最後は甲斐犬の雑種で14年共に暮らしました。子ども達はシベリアンハスキー犬か飼いたいと言いましたが、自転車での散歩が必要と知って諦めたのでした。3匹共に名前は「ベル」「犬の名前はベルに決まっている」夫の言い分に従いました。その方が円満で、夫にも面倒の一端を担ってもらうためでもありました。

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