2011年4月23日24日の気仙沼

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    気仙沼市唐桑町にの甥一家が東日本大震災で津波の被害に遭遇。お見舞いに駆け付けた時の撮影。

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2020年8月11日 (火)

ショートショート

夢第二夜

こんな夢を見た。

酒の勢いで、海に向かう坂道を駆け上っていた。

最初は風の優しさを頬に受けながら、なんともリズミカルに駆けていた。

まだ、酒は全身に回っていないのだろう。

風の優しさが、くすぐったくなるような心地良さだった。

風に自分の心模様を試されているようで、照れ隠しに駆ける速度を速めてみた。

次第に心臓は小刻みに鳴り、拍動と呼吸のリズムが乱れていった。

じりじりと酔いが体全体に回り始め、血圧が上がって行くのがわかる。

汗が出てきた。

ここらで一息と足を止めたとき、「元気かい」と言う声と共に肩を叩かれた。

振り返ってみると、そこには誰もいない。

とっくに陽は沈んでいる。

弱い月の雫の下で金縛りにあった。

手探りで、とにかくその場を逃げようとするのだが、足の一歩が前に出ない。

助けを求めて叫ぶ度に「元気かい」と、闇夜の中から鈍い声がする。

恐怖の反動で、体が垂直に上へ跳ね上がった。

こうなったら、行くとこまで行け!とばかりに、そのまま夜空に駆け出した。

2回宙返り1回ひねりのムーンサルト。

「元気かい」またもや肩を叩かれた。

そうか、また奴だ。

なんだか懐かしさに涙が出てきた。

真夜中の海に写ったのは、紛れもない影を泳ぐ自分。

Nami
 

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コメント

この「夢第二夜」は、夏目漱石の「夢十夜」にならって冒頭を「こんな夢をみた」で始めてみました。
夢って、そうそう見るものではないし、まあ、みても忘れてしまうので、漱石のように十夜も続けられそうもありません。

架空の物語りとは思えない臨場感がせまりますね。ついつい引き込まれてしまうのはストーリーと巧みな語彙なのでしょう。ホッとする結末がありますから読後もすっきりするのは心地よいと感じました。

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