2011年4月23日24日の気仙沼

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    気仙沼市唐桑町にの甥一家が東日本大震災で津波の被害に遭遇。お見舞いに駆け付けた時の撮影。

乱読

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2020年6月20日 (土)

植物の知識

5月、6月の庭を楽しませてくれるカキツバタやアジサイを取り上げて記事を書いたが、その花の表記に戸惑うことも多かった。

記事内容によって、その時々のインスピレーションで、漢字、平仮名あるいはカタカナといった具合で統一性のない書き方をしていたが、実際はどうなのか。

植物と言えば植物学者の牧野富太郎博士が思い浮かぶから、青空文庫での書籍から調べてみた。

「植物知識」の中の『カキツバタ』の項に次のようにある。

「世人、イヤ歌読みでも、俳人でも、また学者でも、カキツバタを燕子花と書いて涼しい顔をして納りかえっているが、なんぞ知らん、燕子花はけっしてカキツバタではなく、これをそういうのは、とんでもない誤りであることを吾人は覚らねばならない。」

続いてアジサイについて次のように指摘している。

「燕子花と同様な大間違いをしているものは、紫陽花である。日本人はだれでもこの紫陽花をアジサイと信じ切っていれど、これもまことにおめでたい間違いをしているのである。この紫陽花は、中国人でもそれが何であるか、その実物を知っていないほど不明な植物で、ただ中国の白楽天の詩集に、わずかにその詩が載のっているにすぎないものである。元来、アジサイは海岸植物のガクアジサイを親として、日本で出生した花で、これはけっして中国物ではないことは、われら植物研究者は能くその如何を知っているのである。」
                                                        
                                                 牧野富太郎「植物知識」より

中国の白楽天(白居易)の詩というのは「白氏文集/卷020の96」に記載されている『紫陽花』のことで、次のようにある。

何年植向仙壇上,早晚移栽到梵家。 雖在人間人不識,與君名作紫陽花。

(訳)
いつのころ、仙人の世界で植えられたのか,それがどうしてこの寺に植えられたのか。
人間の世界にあっても誰も知らない,君に紫陽花と言う名前を上げよう。

この詩には、前書きがあるようで、「植物一日一題」の中の『紫陽花とアジサイ、燕子花とカキツバタ』の項に次のようにある。

招賢寺ニ山花一樹アリテ人ハ名ヲ知ルナシ,色ハ紫デ気ハ香バシク,、芳麗ニシテ愛スベク,頗ル仙物ニ類ス,因テ紫陽花ヲ以テ之レニ名ヅク。

(訳)
招賢寺に花を着けた1本の木があるが、その木の名を誰も知らない。花は、色が紫で、香りが良く、大変に美しくまさに仙境にふさわしい花である。そこでこの花を紫陽花と名づけた。

この前書きからも、白楽天の『紫陽花』という詩のどこを見てもアジサイにはなってないし、単に紫の花を開く山の木の花であるというに過ぎないことが、私でもわかる。

「元来アジサイは日本固有産のガクアジサイを親としてそれから出た花で断じて中国の植物ではないから、これが白楽天の詩にある道理がないではないか。従来学者によっては我がアジサイを中国の八仙花などにあてているが、それは無論間違いである。」

続けて

「とにかくアジサイを中国の花木あるいは中国からきた花木だとするのは誤認のはなはだしいものである。そしてこのアジサイを日本の花であると初めて公々然と世に発表したのは私であった。すなわちそれは植物学上から考察して帰納した結果である。」

            牧野富太郎 「植物一日一題」より

そもそも、牧野博士の命名した純粋に日本産の花であるアジサイが、中国の白楽天の時代にあるはずがない。

アジサイ=紫陽花、カキツバタ=燕子花という認識で、同一文章以内で統一すればよい程度に思っていたが、こうして知見を得たからには、植物学的な正確さで書いた方が良いだろう。

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五・七・五のリズムに乗って、今日の一句。

目薬をさして点検記法かな

 

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コメント

>ふきのとうさん
コメント、ありがとうございます。

「着てももらえないセーターなんか編まない」←私、このタイプですので、思わず笑ってしまいました。
歌謡曲とか演歌、熱い心で表現していますが、誇張しすぎですよね。

俳句も然り、流行歌の当て字にも同じことが言えますね。歌謡曲が始末の悪いのは男性の思い込みと過剰なまでの希望に依存するからでしょう。「着てももらえないセーターなんか編まない」タイプの人間の勝手な言い分に過ぎませんが...。

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