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2006年8月21日 (月)

価値観の逆転

午前中の涼しいうちに、と思って庭の手入れなどしていると昼間でも冷たいビールが飲みたくなる。決して酒豪でもないし、ましてやアルコール依存症などではない。それでも家を守り、家族を忘れず、子供たち相手のピアノ教室の仕事もこなし、その上に夫の仕事である登記書類の作成なども手伝っているのだから、酒に酔うように自分の生き方に酔っている。
欲を言えば、酒に酔う勢いで文章が書ければよいのだが・・・。
還暦をとっくに過ぎたこの年になっても文学への夢を持ち続けているのだから、これほど堂々としていることはない。

平成18年度上半期、第135回芥川賞、伊藤たかみさんの「八月の路上に捨てる」を読んでみた。自動販売機に清涼飲料水の補填を仕事としている主人公敦が、その仕事コンビであるバツイチの女性ドライバー水城さんに語る離婚の経緯。たかが一日の仕事の中での会話を主として成り立っているが、特にインパクトのある文章でもなく、平凡で日常的な軽い会話に過ぎない気がした。いずれにしても、男が女に自分の離婚について語るなんってことは、私には想定外のことだ。
男が女に語るときには、もっとインテリであって欲しい。水木さんの口調が軽妙だが、男っぽく聞こえて、女が強くなる世間の風潮が出ているようで嫌な気がした。年上の女性が男にアドバイスするときには、生きる知恵の応援歌のようなものが欲しい、と私は思う。
選考委員の石原慎太郎が図らずも言っているように、結婚とか離婚というものの重さを感じさせるのが文学の真髄であるはずだが、エネルギーを張り詰めるようなものがなく軽く読めた。
それだけに、ちょっと物足りなさもある。

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